顕現後第7主日「あなたの敵を愛しなさい」ルカ6:27-38 (2019年2月24日)

父と子と聖霊の御名によって。アーメン

 

    本日の福音書では、私たちクリスチャンにとって、最も重要な主イエスのみ言葉が語られました。主イエスは、敵(ecqrouz憎んでいる人たち)に対して3つの愛の方法を示されます。
「憎しみに対して親切にすること。悪口やのろいに対して祝福する(神の恵みを祈る)こと。侮辱に対しては祈ること。」
頬を打たれることは当時としては最大の侮辱でした。悪口や呪いに対して祝福することや、侮辱をする人への取りなしの祈りは当時の人々には考えられませんでした。当時の律法は復讐法でした。「目には目を、歯には歯を」と被害を受けた箇所と同じ箇所を、同じように被害を与えるというやり方だったのです。
(創世記21章)
 さらに「上着を奪い取るものには下着も与えなさい。」といわれるのですが。当時は上着を質に取られることがあっても日が沈むまでには返さなければならないことになっていました。それはその人にとって、ただ一つの肌をおおう上着だったからです。今日の福音書で主イエスは、その上着を取り返すな。下着と一緒に与えなさいと言われるのです。究極の愛を示されるのです。
 私たちは「自分がして欲しくないことは、他人にもしてはいけません」と否定的な言い方で親から教育されてきました。これは仕返しをされないためにこのように教育されてきたのです。主イエスは「人にしてもらいたいことを、人にもしなさい。」と積極的な言い方で、献身的な意味から言われるのです。また主イエスは「見返りを求めずに人に善いことをし、何も当てにしないで貸しなさい。そうすればたくさんの報いがあります。そうすれば神の子と呼ばれます。」と言われます。「人を裁くな。そうすればあなたもあなた方も裁かれることはない。赦しなさい。そうすればあなたがたも赦されます。」と言われます。
 このことが実践できたときに、私たちはどんな気持ちになるでしょうか?すっきりした、全てのことから解き放されたような気持ちになるのではないでしょうか。
 ところが、私たちは日常生活の中で、自分のことは棚に上げ、人の批判をいつもしています。その一方で私たちも批判に値することを行っています。周りの人を赦すとき、私たちも赦されるのです。
 これらのことが、私たちの周りで実践されるとき、「神の国」が実現すると言われるのです。
 今日の旧約聖書では創世記のヨセフの物語が読まれました。ヤコブには12人の息子と1人の娘がいました。その兄弟の中でも、父ヤコブは下から2番目のヨセフを特に愛しました。そのため他の兄弟達の妬みを受け、エジプトの隊商に売られました。そのヨセフが兄弟達と再会する場面が今日の日課で読まれました。ヨセフは兄たちを裁かないで赦したのでした。それによってヨセフは父ヤコブ、兄弟達、中でもヨセフが愛した弟のベニヤミンにも再会できたのです。

 

    今日の主イエスのみ言葉は、なかなか実践することが出来ません。しかし、少しでも実践しようと近づくとき私たちも一歩神の国に近づくことが出来るのです。
 今日の福音が実践できたとき、主イエスは私たちに、懐に入りきれない、溢れるほどの恵みをくださると約束されています。

 礼拝を続けましょう。